全社員が経営に関わる「全員経営」の共創

株式会社NTMC

<東日本営業所>〒140-0001 東京都品川区北品川1-13-3 八ツ山 三和ハウス2A  
<西日本営業所>〒520-0054 滋賀県大津市逢坂1丁目1-1 プエルタ大津202号

新しい評価制度の羅針盤
資格要件の完成

株式会社NTMC 西日本コンサルティング部  
松浦智和 tomokazu-matsuura@ntm-c.co.jp

完成した資格要件

株式会社ニチコミ 

 神戸市中央区栄町通1-2-7 大同生命神戸ビル7階

 事業内容
  県および市区町村老人クラブ広報紙の編集· 制作
  印刷各種出版物の編集・印刷業務、各種広告物等の意匠デザイン制作

 従業員数
  70名(パート、派遣を含む)

 コンサルタントの松浦です。シニア層向け広報紙の制作や物販を通じて「誰もが、いつまでも活躍できる社会の実現」を目指す株式会社ニチコミ様。弊社では全員経営の導入支援を進めていますが、この度、その重要な柱の一つである評価制度の「資格要件」が完成致しました。これは、社員一人ひとりが自律的に成長し、会社全体で目標達成を目指す「全員経営」の実現に向けた、大きな一歩となります。

 本日は、ニチコミ様で1年以上をかけて検討してきた資格要件策定のプロセスと、それが未来の組織にもたらす変革について詳しくご紹介します。これまでの評価制度構築の道のりは、以前のブログ記事

ニチコミ様における評価制度構築支援の進捗

評価制度構築に向けた資格要件検討会開催

でもお伝えしていますので、ぜひそちらも併せてご覧ください。

「評価のための評価」からの脱却

 「全員経営」導入前に抱えていた評価制度に関する課題は、実は多くの企業が今日においても直面している共通の悩みでもありました。

 従来の評価項目はあまりにも多岐にわたり、その複雑さゆえに、せっかく導入された評価制度が実質的にうまく機能していなかったそうです。結果として、社員は「評価を付けること自体が目的になってしまっている」と感じることが多く、本来の目的であるはずの「社員一人ひとりの具体的な成長」へと繋がっていないという、深いジレンマに陥っていました。さらに、現代のビジネス環境はめまぐるしく変化しています。それに伴い、企業が求める能力や役割も常に更新されていくにもかかわらず、評価内容を適切にメンテナンスし、常に最新の状態に保つことが難しいという根本的な課題も抱えていらっしゃいました。

 このような課題が放置されると、社員の皆様のモチベーションは徐々に低下し、組織全体には停滞感が漂い始めます。社員一人ひとりが会社の未来を「自分ごと」として捉え、自ら能動的に動き、変革を起こせるような強い組織を創るためには、評価制度そのものの抜本的な見直しと再構築が、まさに喫緊の課題であり、不可欠なステップでした。

社員の成長と自律を導く「資格要件」の真価

 私たちがお手伝いしている「全員経営」は、単なるスローガンではありません。それは、パート社員を含む全社員が、あたかも自分自身が経営者であるかのような意識を持ち、それぞれの持ち場で自律的に、そして能動的に行動できる組織を目指す、具体的な経営戦略です。では、このビジョン実現のために、なぜ今回完成した「資格要件」がこれほどまでに不可欠な、そして強力なツールとなるのでしょうか?

 ここで私たちが定義する「資格要件」とは、単なる肩書きや役職を示すものではありません。それは、会社が社員一人ひとりに、その役割と成長段階に応じて、具体的に何を求めるのかを明確に言語化したものです。具体的には、以下の三つの要素から構成されています。

1.「理念要件(考え方)」
 
 ニチコミの企業理念やビジョンを理解し、日々の業務でどのような思考を持って取り組むべきかを示します。

2.「人物要件(行動)」
  期待される役割を果たすために、具体的にどのような行動が求められるかを示します。チームワーク、顧客対応、課題解決へのアプローチなどが含まれます。

3.「スキル要件(技術)」
 
​ 各職種や階層で必要とされる専門知識や実務能力など、具体的なスキルレベルを示します。

 「全員経営」の実現において、社員が真の意味で「経営者」として主体的に行動するには、まず自分が会社から何を期待され、どのような能力を身につけていくべきかという、明確な指針が必要です。この資格要件こそが、社員一人ひとりが自身の役割を深く理解し、未来に向けた具体的な成長目標を設定し、日々の業務でその目標達成に向けた行動を自律的に選択していくための、まさに不可欠な「羅針盤」となるのです。これは、上から与えられた評価基準という受動的なものではなく、社員自身のキャリアと成長を自らの手で切り拓くための、能動的な設計図と言えるでしょう。

検討の様子

「共創」が生み出した、現場発の、血の通った資格要件

 今回の資格要件構築プロジェクトは、私たちコンサルタントが一方的に制度を提案するような、一般的なアプローチとは一線を画していました。私たちは、ニチコミ様の社員の皆様と文字通り「共創」することで、この重要な資格要件を練り上げていったのです。その期間は、実に1年以上にわたる、綿密で情熱的なプロセスでした。

 多くの企業では、人事制度の策定は人事部主導で進められ、最終的に社員に展開されるのが一般的です。しかし今回は、プロセスそのものから「全員経営」の精神が貫かれました。現場の部長、課長がプロジェクトの中心となり、会社のトップである社長も毎回検討会に参加し、活発な議論を重ねることで「ニチコミの社員として真に求めるべきこと」は何なのかを徹底的に模索していきました。

私たちは、ワークショップ開催、個別コンサルティング実施、そして質の高い資料提供などを通じて、この複雑なプロセスを円滑に進めるための触媒としての役割を担いました。しかし、このプロジェクトの真の主役は、あくまで現場で日々の業務に真摯に向き合い、未来の組織のあり方を真剣に考え抜いた社員の皆様に他なりません。彼らが自らの手で作り上げたからこそ、この資格要件には血が通い、組織に深く根付く力を持っているのです。

「資格要件」がもたらす、組織と個人の劇的変化

 今回完成した資格要件は、その対象範囲にも大きな特徴があります。それは、社員の多様なキャリアパスや専門性を尊重し、中間層においてはマネジメント職と技術職で、それぞれ異なる特性と役割に応じた要件が細分化して設定されています。

 これら資格要件の完成は、社員に以下のような多岐にわたる具体的なメリットをもたらすと期待されます。

  • 社員の主体性向上と行動変容の促進
     会社から具体的に何を期待されているのか、「考え方」「行動」「技術」の側面から明確になったことで、以前の「何をすればいいか分からない」という受動的な態度が根本から改められ、社員一人ひとりが自律的に考え、目標に向かって行動することが期待されます。これは、個人のパフォーマンス向上だけでなく、組織全体の活性化に直結します。

  • 評価基準の明確化と納得感の向上
     「誰が、何を、どれくらい達成すれば、どのような評価を受けるのか」という基準が、これまで以上に具体的かつ客観的に分かりやすくなります。これにより、評価に対する社員の納得感が格段に高まり、評価がモチベーション低下の原因となることを防ぎ、むしろ向上へと繋がる強力なツールとなるでしょう。

  • 社員の成長促進と具体的なキャリアパス形成支援
     社員は、自身の現在のスキルや能力の立ち位置を客観的に把握し、次に目指すべきステップ、そしてそのステップに進むために習得すべき必要な能力が明確になります。これは、社員自身の自律的な学習やスキルアップへの意欲を強く促し、中長期的なキャリアプラン形成を力強く支援する、いわば「キャリアの地図」となります。

  • 採用・育成活動の最適化と効率化
     会社が求める具体的な人材像が資格要件によって明確化されるため、採用活動において、より自社にフィットする適切な人材を効率的に選定できるようになります。同時に、新入社員研修から階層別研修に至るまで、すべての育成プログラムを資格要件に紐づけることで、より効果的で実用的な人材育成が可能となります。

  • 組織全体のパフォーマンス向上と目標達成への貢献
     
    各人が自身の役割と責任を深く理解し、明確な目標を持って日々の業務に取り組むことで、部門内、そして部門間の連携もよりスムーズになります。これにより、個人のパフォーマンスが組織全体の目標達成に向けた貢献度に直結し、企業としての生産性や競争力が高まることが期待されます。

「参画意識」と「コミットメント」が未来を拓く

 この評価制度構築プロジェクトで最も特筆すべきは、今回完成した資格要件が、決して「トップダウンで一方的に与えられたもの」ではないという事実です。それは、まさに「現場の部長、課長が中心となって、自らの手で創り上げたもの」なのです。

 私たちは、この1年以上にわたるプロセスに深く関わった社員の方々の言動の端々から、出来上がった資格要件に対する圧倒的な「高い参画意識」と「強いコミットメント」を感じています。自分たちの頭で考え、自分たちの言葉で議論し、自分たちの手で作り上げたものだからこそ、「これを自分たちの行動指針として、真剣に活用し、日々の業務で実践していくんだ」という、揺るぎない強い当事者意識と、未来への熱い意欲が感じられました。この現場の熱意と参画意識こそが、今後この新しい評価制度の運用を成功に導き、さらなる成長を力強く牽引する最大の原動力となります。

資格要件から始まる、新しい評価の仕組みと運用

 資格要件の完成は、人事評価制度構築における極めて重要なマイルストーンであり、大きな達成です。しかし、これは「通過点」に過ぎません。今回の資格要件は、あくまで会社が社員に「何を求めるか」という具体的な指針を示したものです。今後は、この資格要件をベースにして、それを実効性のあるものとするための「評価の仕組みと運用」を具体的に検討していくフェーズに入ります。

 具体的には、資格要件に基づいた評価シートの作成に取り組み、社員一人ひとりが自らの成長を客観的に見つめ、次のステップへと繋げられるようなツールを開発していきます。また、評価制度を正しく理解し、効果的に活用できるよう、被評価者と評価者それぞれに向けた丁寧な勉強会を実施する予定です。そして、評価の公平性と納得感を最大限に高めるための「調整会議」の具体的な組み立てなど、運用面での細部にわたる設計も進めていきます。

 NTMCも、ニチコミ様が「全員経営」の理念をさらに深化させ、社員一人ひとりが自身の能力を最大限に発揮し、会社全体が未来に向かって力強く成長できるよう、長期的かつ継続的な支援を行ってまいります。


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 代表略歴・ごあいさつ

略歴
  • 1967年 京都セラミック株式会社(現・京セラ株式会社)入社
  • 1995年 同社代表取締役専務
    京セラコミュニケーションシステム株式会社設立 代表取締役社長
  • 2006年 京セラ株式会社代表取締役副会長
  • 2010年 日本航空株式会社 副社長執行役員
  • 2015年 株式会社NTMC代表取締役社長 

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