株式会社NTMC 西日本コンサルティング部
松浦智和 tomokazu-matsuura@ntm-c.co.jp
企業名 株式会社 松栄軒
住所 鹿児島県出水市上鯖渕532-5
業種 弁当の製造販売
コンサルタントの松浦です。
今回は、前回に引き続き、全員経営導入支援先の株式会社松栄軒との共同棚卸し第2弾として、前回の棚卸しから、社員の意識改革がいかに具体的な成果をもたらしたか、その過程と結果をご報告いたします。
前回の共同棚卸しでは、単なる在庫数の確認に終始していた松栄軒の棚卸しを「全員経営」の考えに基づき、経営改善活動へと位置づけ直しました。
この取り組みでは、棚卸しの本質的な目的である在庫資産の適正化を現場の社員と共有しました。これにより、各従業員が自身の業務と経営状況との関連性を認識し、主体的に取り組む意識が醸成されました。
前回の取り組みから1ヶ月後、意識改革の定着度を確認するため、再度松栄軒を訪問いたしました。その結果、以下の具体的な成果が確認されました。
第一に、棚卸し作業に要する時間が30%以上削減されました。これは、棚卸しが単なる負担ではなく、経営に貢献する活動であるという認識が定着した結果、社員の意識向上による作業の正確性と効率性が向上したためと考えます。
第二に、事務部門の社員が棚卸し作業を通して、納品単価の自発的な確認を開始しました。通常、在庫管理に直接関わらない部門の社員が、企業の原価構造に関心を持つようになったことは、「全員経営」の理念が組織全体に浸透しつつあることを示す好例です。
この変化について、松山社長からは「今まで直接携わっていなかった事務部門にも棚卸に関わってもらったことにより良い変化が見られた。しばらく棚卸は全員でやっていこうと思っている」とのご意見を頂戴しました。このコメントは、経営者視点から見た意識改革の重要性を示唆するものです。
現状、松栄軒は原価管理システムを導入されているものの、その潜在能力を十分に活用しきれていないという課題があります。システムが持つ機能を最大限に引き出し、経営改善をさらに加速させるため、私たちは下記を提案し、実行に移しています。
まず、基盤となるデータの精度を高めるために、商品と使用食材の紐づけを改めて確認しました。これは、正確な原価計算を行う上で不可欠な作業です。商品ごとにどの食材がどれだけ使用されているか、改めて詳細に洗い出すことで、システムへのデータ入力をより正確に行うことが可能になります。
次に、実際の経営において大きな課題となる廃棄やロスを適切に管理するための仕組みを提案しました。製造過程で生じるロスや期限切れによる廃棄は、見過ごされがちなコストです。これを正確に把握し、システムに反映させることで、実際の原価と帳簿上の原価との乖離を最小限に抑え、より現実に即した経営判断を支援します。
さらに、日々変動する食材の単価や、季節によって変わるメニューに対応するため、包括的なデータ登録とその運用方法を提案しました。松栄軒では、日替わりで提供される商品や、時期によって使用する食材の変更があります。これらの変動要因をリアルタイムでシステムに反映させることで、常に最新かつ正確な原価情報を把握できるようになります。
弊社は、これらの改善策を一方的に提示するのではなく、担当者と密に連携しながら一つひとつ丁寧に実行していきます。単なる助言に留まらず、継続的支援として、システムの運用が定着するまで伴走し、さらなる成長をサポートしていきます。棚卸しから始まった意識改革を、組織全体の文化として定着させることが、私たちの最終的な目標です。
在庫棚卸しは、単なる作業効率化ではなく、従業員一人ひとりの意識を変え、部門間の連携を促進することで、真の経営改善に繋がる活動です。
松栄軒の事例は、このような意識改革が企業にもたらす具体的な効果を明確に示しています。貴社におかれましても、棚卸しや経営改善に関する課題がございましたら、是非一度弊社までご相談ください。
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