1つ前のコラムでは、「中小企業における採算表の活用1:成功する経営会議運営のポイント」と題して、「一般的な経営会議」と「採算表を活用した経営会議」の違いについて説明しました。今回は、中小企業における採算表の活用に関する2回目のコラムとして、経営計画書を作成する際に、採算表を活用することのメリットについてお知らせします。
経営計画書の作成に関して中小企業によく見られる問題にはさまざまなものがありますが、ここでは重要な2点について指摘したいと考えています。
一つは、本来の役割を果たしていないと思われる経営計画書が多く存在するということです。「経営計画書もどき」ともいえる書類を作成することが目的になってしまうことがあります。これには、例えば「銀行から融資を取り付けること」や「補助金を獲得すること」を目的に作成する経営計画書が該当します。
このような経営計画書については、銀行から融資を取り付ける、あるいは、補助金の給付決定通知書を手にした時点で、その役目が終わってしまいがちです。本来の経営計画書としての目的を果たすことがなく、書類提出のために使われてしまうのです。
もう一つの問題は、経営者や経営幹部だけのものとなり、一般社員の関わりが非常に限定的なことです。経営計画書について書かれたある本の中には「経営計画書を作成・運用すべき理由」の一つとして「社長と幹部の歩みを一つにできる」と指摘されていました。
これについては、もっともらしいことを述べているようですが、あくまで経営者と幹部のものという意味合いが強く、一般社員は対象外となっています。全員参加型の経営計画になっていないのです。
中小企業で行われている経営計画の作成の流れについては、まず目標を明確にした上で、それに到達するよう売上計画をつくることが一般的ではないでしょうか。売上については「単価×販売数」という数式で表すことができるので、「単価」と「販売数」に分解することができます。これらの数字を調整しながら売上高の数字を作りあげているケースが中小企業には多いと思われます。つまり、目標とする売上高に達するよう、単価や販売数の数字を調整しているのです。
また、その売上高を作るために必要な経費を積み上げていけば、損益を算出することができます。このように売上と費用の両面から数字を調整する作業を行います。中小企業においては、これらの数字について、目標値(例:売上高や営業利益)に合致するよう辻褄を合わせているだけのケースが少なくないと思われます。
しかも、このような作業は部門長や経営企画の担当者など一部の社員の間だけで行われることが多く、殆どの一般社員はその過程に関わることがないのです。
では、私たちNTMCが提唱する採算表を活用した経営計画書の作成は、中小企業で一般的に行われている方法と比べて、どのような点において違いがあるのでしょうか?
まず、採算表を活用することで月次の計画が作成できるようになります。そうすれば、自ずと年間計画の作成が可能になります。ここでのポイントは、採算表を作成することで、1時間当たりの経費などがわかるようになる結果、チーム毎に「もっと利益を出すためには、どこを、どのように工夫すれば良いだろうか」などと社員が自ら考え始めるようになることです。
事業の形態によって異なりますが、例えば、マッサージ店を経営している事業であれば、人の配置や料金単価の設定など、さまざまな視点から社員が事業について検討するようになります。社員たちには、「利益を出そう」「どこを、どのようにしたら利益を出せるのか」などという意識が強く働くようになります。この結果、社員が自ら知恵を出し合うようになっていきます。
これは、先に述べた一般的な中小企業にて行われているやり方とは明らかに異なります。しかも、社員が経営計画書の作成に関わるのです。
このように、経営計画書の作成において採算表を活用する方法は、多くの中小企業で行われている一般的なやり方とは大きく異なります。
数字が見える化されることで、現場のリーダーや一般社員までもが採算を意識するようになる結果、社員一人ひとりが「どうしたら利益を高めることができるだろうか」ということを考えた上で計画を作成するようになります。
このように全員経営では、仕事のやりがい、利益の追求、会社への貢献の場をつくり、人材の育成と企業の発展を実現するのです。
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