NTMC社長の森田です。
私は、これまでの仕事を通して、管理会計は本来どうあるべきかについて考えてきました。
企業の会計というと、いつも財務会計・管理会計・税務会計が論じられます。
企業の経営において大切なものは、管理会計であると語られています。しかし、この管理会計も経営者や幹部、そして経理で理解され活用されているものだと感じています。
本当にその状態を続けて行くことでよいのかについて、私の考えを述べさせていただきます。
まず、各社で利用されています管理会計の資料は、どのように作られているかを聞いてみますと、財務会計を利用して事業本部や事業部単位でまとめられている損益計算書が大半であると認識しています。
また、資料ができるのは、当然財務会計がまとまった後ですから、月次決算から想定されるタイミングは、およそ2か月遅れになってしまうのではないかと思います。例えば、7月の月次の結果は、9月になってから(管理会計の)資料ができることになると思います。
これでは経営者も幹部の皆さんも遅いと感じられているでしょう。また、現場では見向きもされていないのです。本部の合計の数字では、それぞれの組織の実態が全く分からないからです。しかも2か月も遅れているのでは使い道もないと感じていると推測できます。
京セラ創業者の稲盛さんは、その2か月遅れの決算を見せられて、最初は「会計とはこのように見るのか」と感心していましたが、やがてその資料については、全く役に立たないのではないかと思いはじめました。自分が知りたいのは現在の会社の細部の状況なのだと気づき、そのためにはチームごとの状況を細かく見るべきであると考え小集団部門別の採算表を独自で考案されました。
これがのちに「アメーバ経営」といわれるものです。この採算表は、製造部門の工程ごとに計算できる方法で作られています。これが現在の京セラグループという世界的な大企業の礎になっているのです。
1959年4月1日創業しました京セラは、資本金300万円、従業員数28名の小集団の部品製造からのスタートでした。その会社が現在2021年3月期現在、従業員数:80,308人(連結)という世界的大企業へ成長し今も発展し続けています。
創業後62年間経過した2021年3月末財務状況は、
・資産合計:3,493,470百万円
・資本合計:2,616110百万円
・自己資本比率:74.9%
・1株当り総資産:7,149円
・従業員数(連結)80,308人
という驚異的な成長を遂げています。
私は、京セラで実践してきた小集団部門別採算こそが、本来あるべき管理会計ではないかと思っています。
過去、京セラでは物づくりの現場に直結した管理会計を考案して実践してきました。即ち、現場で仕事をしている社員が会計の仕組みを理解して、チームとして日々の仕事の結果を確認しながら月次の計画を予定通りに遂行できる能力を常に向上させてきました。
そのことが厳しい競争に打ち勝っていく精神と努力を惜しまないチーム作りを実現できたと同時に成長・発展につながったのです。このような現場力が発揮できる管理会計が必要なのです。
ここで申し上げたいのは、管理会計は経営者や幹部・経理だけのものではなく、全社員が理解でき、また活用できるように分かりやすく、タイムリーに結果が計算できる会計でなければならないということです。
そのことが仕事の面白さを高め、日々の仕事に現場としての新たな目標が生まれるのです。今日の仕事の結果は、どれだけの収入につながったのか、利益がいくら出たのかが計算できるようになれば、仕事はたいへん楽しくなるのです。部門間の連携も見違える結果になるでしょう。そして、至る所で新たなイノベーションも起こってくるでしょう。是非このような管理会計の仕組みを目指してほしいと思います。
月次の決算は会社としては計算できると思いますが、それぞれの現場においてもその結果を求めていけるようにするのです。そうすることによって、実に頼もしい現場に変化していくでしょう。それぞれのチームが年間12回の試合に挑んでいくようになるのです。
かの有名なスティーブ・ジョブスは、仕事はチームスポーツなのだという言葉を残しています。まさに管理会計がそのような姿を導き出す仕組で作られねばならないと思います。
チームスポーツ、野球やサッカーなどこれらのスポーツでは、各選手は実に生き生きとプレーを楽しんでいます。そして絶え間なく新しい技を磨いているのです。そして、すべての力を出して勝利を目指しています。観客はその一流の技を見るために出かけるのです。私は、今こそ全ての企業が管理会計について真剣に考えるべき時ではないかと思っております。
私共NTMCは、そのような管理会計の仕組みづくりを応援しています。
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