2025年 11月14日日
去る11月14日、京都府商工会議所青年部連合会主催、綾部商工会議所青年部主管による講演会が開催されました。ご参加いただいた多くの皆様、そして企画・運営にご尽力された青年部の皆様に心より感謝申し上げます。
講演会では、弊社社長である森田直行が登壇し、「小さな会社こそ理念と現場力で強くなる」をテーマにお話しさせていただきました。中小企業経営者の皆様が日々向き合う「社員の意識改革」や「収益力の強化」といった根深い課題に対し、本講演が確かな解決の方向性を示すものとなったと確信しております。本レポートでは、講演の核心を深く掘り下げ、その解決策となる弊社のコンサルティングサービスについてご紹介いたします。
中小企業経営者が直面する二つの大きな壁
多くの経営者様が抱える課題は、突き詰めると二つに集約されます。一つは、「経営者の熱い想いや企業理念が、現場の社員まで浸透しない」という理念浸透の壁。もう一つは、「社員がコスト意識を持たず、売上はあっても利益が残らない」という収益構造の不透明さ、つまり現場力の壁です。
これらの課題は、成長を目指すすべての中小企業にとって避けて通れない問題であり、経営者が孤独に抱え込みがちな重荷となっています。講演では、この根深い課題に対し、私たちが長年培ってきた「全員経営」のノウハウを具体的な事例と共に提示いたしました。
JALの事例が示す「経営の本質」
講演で大きな焦点となったのは、森田が直接関わったJAL(日本航空)の再建事例です。当時、法的整理に陥った巨大な組織が、わずか2年8ヶ月という異例の速さで再上場を果たし、高収益企業へと変貌を遂げた事実は皆さんの記憶にあるかと思います。
この奇跡の再建の核となった1つが「部門別採算制度」の導入です。しかし、この事例を話す際、森田は「これは大企業のための特別な手法ではない」と強調いたしました。JALという巨大組織の事例は、組織論や会計論ではなく「経営の本質」を学ぶための生きた教材なのです。規模の大小に関わらず、企業を強くするのは、トップの卓越した戦略だけではありません。現場の社員一人ひとりが、自分の仕事が「売上」と「利益」にどう繋がっているのかを理解し、当事者意識をもって行動する、この仕組みづくりこそが本質です。
「部門別採算制度」が理念を現場力に変える
かつてのJALは、巨大ゆえに社員が「誰かがやってくれる」「自分の仕事は会社全体の利益に貢献しているか分からない」という無関心に陥りやすい構造でした。これは、多くの中小企業でも、「社長がすべて見ているから大丈夫」という甘えや、部署間の連携不足という形で顕在化しています。
部門別採算制度は、会社全体でしか見えなかった採算を、部門、さらには小さなチームという単位まで細分化し、明確な損益計算書(採算表)を作成します。これにより、現場の社員は日々の仕事の結果を、具体的な数字(成果)として把握できるようになります。
森田は講演で、「3万人の団体戦では、自分が貢献できたかどうかも分からない。しかし10人のチームで毎月の勝敗が分かると"やったあ""残念だった"と社員が一喜一憂する」と、この制度がもたらす変化を表現しました。
この「一喜一憂」こそが、社員の内発的な動機となり、当事者意識を醸成します。自分の部門の採算を良くするために、ムダを削減し、新しい売上を生み出すための工夫を自発的に行う。この地道で自律的な改善活動が全社で展開されることで、組織全体の現場力は飛躍的に向上するのです。
中小企業こそ部門別採算制度が必要な理由
JALの事例は、巨大組織の「無関心」を打破しましたが、中小企業においてもこの制度は不可欠です。
理念は美しい言葉だけでは現場に浸透しません。部門別採算制度は、「採算向上を通じて社会に貢献する」といった理念を、「今月の採算を〇〇円改善する」という具体的な行動目標に落とし込みます。理念と実務が直結するのです。
また、各部門のリーダーは、自部門の採算を管理することで、自然と「小さな会社の経営者」としての視点とスキルを身につけます。これにより、次世代の経営幹部が自律的に育つ土壌が形成されます。
つまり、「部門別採算制度」は、規模に関わらず、経営者が本当に伝えたい理念と、社員が本来持っている能力を直結させ、企業を内側から強くするための、最も効果的な経営システムなのです。
NTMCは「全員経営」実現の伴走者です
講演内容に深く共感し、「自社こそ理念と現場力で強くなりたい」とお考えの中小企業経営者様、NTMCは、部門別採算制度の構築、および全員経営コンサルティングを提供しております。
「社員の意識が変わらない」「収益構造の悩みを本質から解決したい」という課題は、必ず解決できます。私たちは、机上の空論ではない、貴社の現場に根付く具体的なシステムとして「全員経営」を実装いたします。まずは、貴社の現状について、私たちにご相談ください。
森田が稲盛和夫氏から学んだことや実務経験を通じ確立した経営哲学を企業経営、マネジメントに役立つメールマガジンとしてお送りします。
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