全社員が経営に関わる「全員経営」の共創

株式会社NTMC

<東日本営業所>〒140-0001 東京都品川区北品川1-13-3 八ツ山 三和ハウス2A  
<西日本営業所>〒520-0054 滋賀県大津市逢坂1丁目1-1 プエルタ大津202号

【盛心塾東海講演レポート】
稲盛経営とJAL再建に学ぶ「全員経営」の真髄
〜白熱の1対1問答で答えた経営者の葛藤と打開策〜

盛心塾東海の皆様と

これからの時代を切り拓く「全員経営」という解

 8月21日、盛心塾東海様にて、弊社代表取締役・森田直行による講演が開催されました。盛心塾東海様では「心を高める、経営を伸ばす」を目指し、体系的かつ計画的な勉強会を重ねられています。今回の講演も、参加された多くの経営者にとって、今後の自社経営を力強く牽引するための実践的な一助となることを目的として行われました。

 創業者が強烈なリーダーシップで会社を引っ張り、トップの指示命令によって社員が動く、昭和から続くこうした牽引型の経営モデルは、かつて多くの成長をもたらしてきました。しかし、時代の変化が激しさを増す今日、経営者一人の知恵や力だけで会社を成長させ続けることには限界があります。

 次の5年、10年をいかに生き抜き、会社を成長・発展させていくのか。

 その答えのヒントとなるのが、京セラの成長とJALの奇跡的な再建を支えた稲盛和夫氏の経営哲学であり、私どもが提唱する「全員経営(ニューチームマネジメント)」です。一部の役員や幹部だけでなく、現場の中間管理職、一般社員、さらにはパート・アルバイトや海外実習生に至るまで、全社員が経営者意識を持って経営に参画する組織へ。その具体的な仕組みと運用の真髄をお伝えします。

【講演】
京セラ・JALの奇跡を支えた「社内取引」と「共通言語」
京セラ創業期に生まれた「時間当り採算」の原点

 京セラは1959年、稲盛氏を含む8人の仲間と新卒の中学生20名、わずか28名の零細企業からスタートしました。本来技術者であった稲盛氏は、当初経営や会計の素人でした。注文が増え、製造現場の人数が大幅に増えても、思うように利益が伸びない時期がありました。

 そこで稲盛氏が着手したのが、製造と営業の経営改革です。数人で構成される小集団チームごとに独自の採算表(損益計算書)を作成し、「工程別生産実績日報」を導入しました。製造部門には単なる出来高ではなく「生産金額」と「一人時付加価値(時間当たりの付加価値)」の向上を求め、チームリーダーを「一人の経営者」として育て上げたのです。この意識改革と管理会計の仕組みこそが、創業10年目、20年目へと続く脅威的な高収益体質の原点となりました。

JAL再建の原動力となった「協力対価」と「1便ごとの収支」

 2010年、負債総額2兆3,000億円を超えて破たんした日本航空(JAL)の再建において、森田も稲盛氏と共に現地に乗り込みました。

 当時、JALには「1便ごとの収支」をタイムリーに把握する仕組みがなく、月次決算が出るのも2ヶ月後という状態でした。そこで導入したのが、管理会計の抜本的革新です。路線計画や料金設定を担う「路線統括本部」を新設して利益責任を持たせ、パイロット・CA・空港・整備などの各現場部門には、1便ごとに路線統括本部から「協力対価」という社内取引の収入が入る仕組みを構築しました。フライトの翌日にはすべての便の収支が算出できるようになったのです。

 かつて「泣きも笑いもしない組織」と言われたJALが、社内取引の導入により「10人のチームで毎月勝負を行い、結果に『やったあ』『残念だった』と一喜一憂する生き生きとした組織」へと生まれ変わりました。現場社員が利益に目覚めた結果、予約状況に応じた機材の臨機応変な変更や海外航空会社の整備受託など、現場からの創意工夫が溢れ出し、わずか2年で奇跡の再上場と営業利益2,000億円超という高収益化を果たしました。

部門別採算が「経営者と社員のコミュニケーション」を激変させる

 全員経営を実現するためには、以下の4つの原則が不可欠です。

  1. 組織はわかりやすくシンプルに(機能別組織の下に小さなチームを作る)
  2. 日々の進捗は実績日報で(受注・売上・生産高のタイムリーな把握)
  3. スピーディな採算表の作成(社外取引と社内取引を明確に分ける)
  4. 階層別経営会議の開催(末端のリーダーが数字を持って発表する場を作る)

 全員経営の真の価値は、単なるコスト削減や収支管理の徹底にとどまりません。全社員が「時間当たりの数字(一人時付加価値)」という共通言語を持つことで、経営者・リーダー・一般社員の間のコミュニケーションが劇的に活発化することにあります。数字という客観的な事実をオープンにし、全員で共有するからこそ、社内の信頼関係が深まり、全員で稼ごうとする一体感が生まれるのです。

資料1
資料2

【1対1問答】
経営者の苦悩に答える、四つの真実

 

 講演後の経営問答では、自社の現場で泥臭く指揮を執る経営者の方々から、リアルで切実な悩みが次々と寄せられました。森田が正面から向き合った白熱の問答をご紹介します。

■問答①
 
60名の製造業・海外実習生も抱える現場での「数字のオープン化」と「非生産部門」の悩み

 当社は従業員約60名で、2つの工場で製造を行っています。うち20名は海外からの技能実習生です。時間当たり付加価値の数値は算出していますが、現場社員の意識はまだ高くありません。営業はトップセールスで案件を取ってきており、現場は納期に追われて走り回っている状態です。

 このような状況で、検査工程などの非生産部門をどう分けて社内売買・採算管理を組めば良いのでしょうか。細かく分けると現場の負担(残業や作業の煩雑化)が増えるのではないかと懸念しています。また、海外実習生にも数字を見せたり教えても良いものでしょうか。

【森田の回答】

 「まず、経営者自身が『部門別採算をやり切る』と腹を括って決定しない限り、社員の意識が変わることはありません。

 検査工程などの扱いについてですが、最初から複雑にしすぎる必要はありません。検査部門はいくつもの工程を柔軟に行き来する必要がありますから、独立した採算部門にするのではなく『全社共通経費』として配分すれば良いのです。まずは実際にモノを作り出している製造現場そのものに、採算や付加価値を意識させることが先決です。

 経営はスポーツの世界と全く同じです。監督やコーチから『走れ』と言われて走るだけでは、一流の選手にはなれません。選手自身がスコア(数字)を見て『今勝っているのか、負けているのか』を知るからこそ、勝ちたくて自発的に練習し、工夫するのです。数字を隠して走らせるのは、スコアボードを隠して試合をさせるようなものです。

 海外実習生についても全く隠す必要はありません。持っていかれて困るようなものではないのですから。会社で使う独自の言葉(生産高など)を丁寧に共有し、働いた結果の数字をオープンにして『これがあなたたちの頑張った結果だよ』と説明してあげてください。数字が見えることで、彼らの活力も格段に高まります」


■問答②
 
工程別単価(社内売買単価)の決め方と、社員に納得してもらう方法

【経営者の悩み】

 工程ごとに社内単価(生産単価)を設定する際、各工程で単価の違いが出てきます。「なぜうちの工程はこの単価なのか」「なぜ他と違うのか」という点について、現場のリーダーや社員たちにどう説明し、納得感を持ってもらえば良いのでしょうか。

【森田の回答】

 「社内単価を決定するときに最もやってはいけないのは、経営層や経理だけで勝手に決めて現場に押し付けることです。単価を決める際には、必ず各部門の現場リーダーを参加させ、原材料費や工程ごとのコストをオープンにした上で徹底的に議論させてください。

 当然、各リーダーは自部門の採算を良くしたいですから『うちの単価をもっと高くしてほしい』と主張してきます。それで良いのです。お互いに議論を重ねて一度単価を決め、まずはその単価で半年ほど運用してみる。もし運用してみて不都合があれば、また話し合って修正すれば良いのです。

 大切なのは、現場の社員に『この商品を1個作ったら自分たちの部門に何円入るのか』という金額を覚えさせることです。世の中の多くの会社では『今日は何個作った』という『数量』でしか会話をしていません。しかし、京セラをはじめ高収益企業では『今日は何万円作った』と『金額』で会話をします。

 人は誰しも『お金(金額)』に一番関心があります。関心がある数字をオープンにし、自分たちの努力が金額として見えるようになるからこそ、現場に『もっと売り上げ(生産高)を伸ばそう』という経営者意識が芽生えるのです」


■問答③
  20年以上のベテラン社員が問う「リーダーのあり方と覚悟」

【経営者の悩み】

(アメーバ経営導入企業に20年以上勤務するベテラン役職者より)

 森田社長の著書『課長心得12カ条』を大切に読んでおります。本日のお話を聞き、改めて採算表という仕組みがチームのエネルギーを引き出す凄さを再認識いたしました。

 組織のリーダーとして、部下を引っ張っていく上で最も大切にすべき「リーダーの心得・あり方」について、改めてお言葉をいただけますでしょうか。

【森田の回答】

 「リーダーにとって最も重要な使命は、何か。それは『一緒に働くメンバーの生活を守る』ということです。

 自分の部門の成果や利益を良い形で残すことは、精神論ではなく、メンバーの給料や賞与、そして雇用の安定に直接直結しています。この結びつきを理解していない社員はまだ多くいます。だからこそ、リーダーは『私たちのチームの頑張りが、自分たちの生活基盤を守り、潤すことにつながっているんだよ』ということを根気強く伝え、理解させなければなりません。

 数字や採算表がないままだと、リーダーの指示は単なる『指示命令』や『働かせている』という圧迫感になってしまいます。しかし、正確な採算表という客観的な事実があれば、『このままだと赤字になって自分たちの生活に響くよ』『これだけ利益が出たから自分たちの頑張りが証明されたね』と、事実に基づいて対話ができます。

 『メンバーの生活を守る』という強い覚悟を持ち、採算表という事実を通じて心を通わせること。これこそが、部下の心を動かすリーダーの真のあり方です」


■問答④
 多品種小ロット・裁断工程での「不確実な作業時間」と「社内単価設定」の妥協

【経営者の悩み】

 当社は小ロット・短納期・多品種の縫製工場を経営しています。例えば「裁断工程」一つをとっても、同じTシャツの生地であっても入ってくる生地の巻き方や質によって裁断にかかる時間が全く異なり、トラブルも頻発します。

 現場は『良いものを作ろう』と愚直に取り組んでいますが、作業時間が読めず標準化が困難です。こうした不確実要素の多い工程において、社内単価(裁断代)の設定や時間管理の妥協点をどのように決めれば良いでしょうか。

【森田の回答】

 「やりにくい生地だから時間がかかるのは仕方がない、と曖昧なまま妥協してはいけません。生地の扱いやすさや作業の難易度に応じて、あらかじめAランク・Bランク・Cランクといった明確な『段階的ルール(単価設定)』を作ることです。現場で実際に作業をしている職人は、生地を見た瞬間に『これは時間がかかる生地だ』と感覚的に分かっています。

 段階的なルールを作るメリットは2つあります。

 1つ目は、現場に『技術革新』が生まれることです。『このCランクの難しい生地でも、工夫してこの時間内で裁断できれば、部門に大きな利益が残る』というゲーム性が生まれ、現場の裁断技術やスピードが飛躍的に向上します。

 2つ目は、顧客や仕入先に対して説得力のある交渉ができるようになることです。『この生地は裁断に通常の倍の時間がかかるため、この工程単価になります。どうされますか?』と、根拠を持って顧客や仕入先と交渉・折衝ができるようになります。

 技術、作業時間、そして価格(単価)は密接に結びついています。現場任せにせず、会社として明確な単価ルールを定めることこそが、現場の技術を高め、顧客からの信頼と適正な利益を獲得する道なのです」

【まとめ】
自社に合わせた「社内取引」と「採算表」が会社を変える

 

 4つの問答を通じて浮き彫りになったのは、経営者が抱える現場の混乱や社員の意識に関する悩みは、「自社の実態に即した正しい社内取引ルールの設計」と「全員が見て分かりやすい採算表の構築」によって、すべて打開できるという真実です。

 単に「意識を変えろ」「コストを減らせ」と叫ぶだけでは、現場は動きません。

 自社の製造工程や販売形態に合わせた「社内取引」という仕組みを整え、ゲーム感覚で全員が成果(利益)を追いかけられる環境を作ること。そして、採算表という透明な数字を通じて、経営者と社員が対話を重ねること。これこそが、高収益企業へと脱皮するための最も確実なステップです。

 かつて、20世紀最高の経営者と称されたジャック・ウェルチはこう言いました。

 「世界の裏側で何が起こっているかが瞬時にわかる時代に、どうすれば競争力がつけられるか? 唯一の方法は、全社員を引き込むことだ。経営の傍観者を持つ余裕はない」

 社員一人ひとりを経営の「当事者」にし、全社員の力を結集する「全員経営」。

 「自社の場合、どのように組織や社内取引ルールを設計すれば良いのか」「自社専用の採算表をどのように構築すべきか」とお悩みの経営者様、ぜひ一度NTMCにご相談ください。私どもNTMCは、貴社の現場にどこまでも寄り添い、自社に最適な全員経営の仕組みづくりを伴走型でお手伝いいたします。

 

 ご相談・お問い合わせ

コンサルティング・講演・研修のご相談はこちら

お気軽にお問い合わせください。

 無料メールマガジン

購読無料

森田が稲盛和夫氏から学んだことや実務経験を通じ確立した経営哲学を企業経営、マネジメントに役立つメールマガジンとしてお送りします。

市販の書籍では得られない、“稲盛経営の本質”をお伝えします。

 サービスメニュー

・コンサルティング

・講演

・研修

 コンサル活動事例

「全員経営」の導入・実践事例をご紹介しています。

 資料ダウンロード

全員経営の考え方や導入のポイントを、わかりやすくまとめた資料をご用意しています。

全員経営を知る

下記の語句は、株式会社NTMCの登録商標です。

「全員経営」「 社内協力対価」
「社内支援対価」「社内サービス対価」        「差引収益」「部門別連結管理会計」
「社内売買」「一人時収入」

「一人時経費」「一人時付加価値」
「全員で稼ぐ部門別採算」
全員で稼ぐ
ニューチームマネジメント
「らくらく採算表」
「らくらく社内売買」   全14件