株式会社NTMC 西日本コンサルティング部
松浦智和 tomokazu-matsuura@ntm-c.co.jp
企業名 株式会社 松栄軒
住所 鹿児島県出水市上鯖渕532-5
業種 弁当の製造販売
コンサルタントの松浦です。
経営会議は何のためにあるのか。
この問いは、支援の現場に立つたびに、私自身も繰り返し考えさせられます。業績を確認する場であることに間違いはありません。数字を見ずに経営はできません。ただ、それだけで終わる会議と、そこから人が育っていく会議とでは、組織の未来は大きく変わります。
株式会社松栄軒で全員経営を導入してから18回目の経営会議。今回、その違いがはっきりと表れていました。
全員経営導入前の経営会議は、社長が中心となって話し、他のメンバーはそれを聞く――そうした色合いの強い場だったと聞いています。数字は共有されるものの、そこから議論が広がることは多くなかった。
ところが、部門別採算制度を導入し、各部門が自らの採算を持つようになってから、空気が変わりました。自分の意思決定が数字にどう影響するのかを理解しているからこそ、質問が具体的になります。
「なぜこの数値になったのか」「この施策は来月どう効いてくるのか」。部門間で自然とやり取りが生まれるようになりました。
制度が入ったから議論が増えた、というよりも、制度によって“当事者意識”が生まれた、と言った方が近いかもしれません。
今回、松山社長は出張先からWebで参加されました。画面越しの参加でしたが、その熱量は十分に伝わってきました。とくに印象に残ったのは、「次月の予定を立てたならば、それを達成しようという強い意志を持つことが重要だ」という言葉です。
計画を立てること自体が目的になっていないか。未達の理由探しで終わっていないか。そうした問いが、静かに、しかし強く投げかけられていました。
もともと松山社長は数字に対して非常に厳格です。ただ今回は、その厳しさが「自分がやる」という姿勢から、「全員でやる」という覚悟へと広がっているように感じました。
会議では在庫に関する具体的な数値の議論もありました。抽象的な精神論ではなく、あくまで数字を起点に話が進む。そのやり取りのなかで、部門長の表情が変わる瞬間があります。静かにうなずきながら、自分の行動を振り返っている。そうした姿がとても印象的でした。
今回のテーマの一つである営業強化も、単なる掛け声ではありません。
毎週のチェック会議で進捗を確認し、その結果を経営会議で採算に落とし込む。週次と月次がつながり、行動と数字が結びついています。
一方で、社長が強調していたのは「100%を待たなくていい。80%でもいいから変化に挑戦しよう」という姿勢でした。完璧な準備が整うまで動かないのではなく、まず動き、修正しながら前に進む。このメッセージは、制度だけでは補えない部分を支えています。
仕組みがあるから継続できる。意識があるから挑戦できる。
全員経営は、その両方を同時に育てていく取り組みだと、改めて感じました。
思想があり、仕組みがあり、会議があり、行動が変わり、やがて組織が変わる。この流れが少しずつ回り始めているのが、今回の経営会議でした。
業績を確認する機能は、もちろん重要です。しかし、その確認が単なる読み上げで終わるのか、それとも「ではどうするのか」という問いにまで踏み込むのかで、意味はまったく変わります。部門別採算制度のもとで数字を持ち、会議で問いを受け、次の行動を決める。この繰り返しが、人を“管理者”から“経営を担う存在”へと変えていきます。
静かにうなずく部門長の姿を見ながら、「ああ、ここまで来たのだな」と感じたのが正直なところです。
予定は立てている。数字も見ている。けれど、その場は人を育てているでしょうか。
全員経営や部門別採算制度の事例は、松栄軒以外にもあります。それぞれの現場で、経営会議の意味が少しずつ変わっていく過程があります。
もし、自社の経営会議をもう一段引き上げたいとお考えであれば、他の事例もぜひ参考にしてみてください。必要であれば、現状の整理からご一緒することも可能です。
経営会議は、毎月必ずやってくる時間です。その時間を、単なる確認で終わらせるか、育成の場にするか。選択できるのは、経営者自身です。
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下記の語句は、株式会社NTMCの登録商標です。
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